3月3日の節句が終わって、今年飾られたおひなさまをかたづけないでやまだに送られてリメイク・リサイズする方が今は多いです。
五月人形のリメイク・リサイズも、今年の五月の節句に間に合うようにと送られる方もいらして、毎日ひな人形と五月人形のリメイク・リサイズにスケールをもって倉庫と店舗を行ったり来たりしています。
五月人形の方はまだ3月中旬ですので、写真のやり取りをしながら今お持ちの五月人形を何を残され、どのようにされるか考えます。
できるだけみな残されたいとお考えですが、なにぶんコンパクトにされるには、弓太刀を低くするとか、ケースは間口を狭くとか、奥行をもっと縮めて等のご要望にお応えしています。
何かございましたらなんなりとおっしゃって下さい。
Contents
五月人形について
五月人形についてお話しします。
五月人形とは
男子の誕生を祝うとともに、無事に成長し、強く、立派な男子となるようにとの願いを込めて飾る人形です。
凛々しさを魅力とする五月人形は、なぜ鎧や兜を飾るのか、鯉のぼりは何のために飾るのかなどの意義の告知がひな人形以上に重要になってきます。
「鎧や兜は戦争の道具だから飾りたくない」などといわれないためにも、五月人形の意義をお伝えします。
五月人形の種類
現在の五月人形のメインは、鎧または兜です。これにいろいろな道具を添えて飾ります。この他に子供の人形に鎧を着せた子供大将といわれるものもあります。
五月人形の代名詞のようにいわれた桃太郎や金太郎などは、神武天皇や鍾馗、飾り馬などと共に脇飾りとして、今では主に親しい人からの贈り物として利用されています。
鎧、兜の大きさ表示
大きさは通常、号数で表示します。
現在全国平均で一番売れていて標準的な大きさの鎧は十号です。かつては尺(つまり一尺)と表現していましたが、何が一尺なのかの根拠ははっきりしません。十号の鎧の高さはメーカーによって(あるいは同一メーカー品でも商品によって)さまざまですが、だいたい72センチ前後です。通常売れ筋は八号(62センチ)、十二号(85センチ)ですが、近年は、五号(48センチ)、七号(54センチ)など小型のものも増えてきました。
鎧・兜はひな人形の場合とちがって大きさの基準がないため、号数表示が同じでも実際の大きさはメーカーによってかなり差があります。A社の十五号と、B社の十八号が同じくらいの大きさの場合さえもあります。特に兜にその傾向がありますので注意が必要です。
また成人男子の着用する鎧兜を基準にして、縮小率で「何分の一」と表す表示の仕方もあり、子どもが着ることのできる鎧の場合は、「何才用」と表示しているメーカーもあります。
鎧、兜のセールスポイント
近年、セールスポイントは主に作札に表示されていますが、用語が非常に専門的です。
小札
小札とは鉄、革、和紙などでできた小片の部分です。これを組紐(縅(おどし)糸)で綴り合わせた縅(おどし)といわれるものが鎧・兜の基本となります。
その作札が金色に加工してあれば金小札、黒色に加工してあれば黒小札、金箔を押してある高級品は箔押小札(または金箔押小札)などといいます。
縅
威または縅と書いて「おどし」と読みます。
素材、糸の色そのものや、糸の色の組み合わせ方などによって、いろいろな名前で呼ばれます。主体の糸が赤色ならば赤糸威、それが正絹であるなら正絹赤糸威などといいます。
黄色味の強いクリーム色を特に緋威といい、古来から鎧に使われる伝統的な色とされています。
また、下にいくほど同系色の濃い色を使用したものを裾濃威、小札の段ごとに色を替えたものを段威、または色々威などといいます。
その他沢瀉(おもだか)威、妻取威、肩白威、中白威など、いろいろな威糸の組み合わせ方があります。
そして、小札の名称と組み合わせで甲冑としての基本的な名前がつくのです。
合わせ鉢、かしめ鉢
兜のヘルメット部分を鉢といいます。この鉢の部分は一般的に一枚の鉄板類をプレスして作りますが、三角錐状の部分を星といわれるビスでかしめ(はぎ合わせる)て作る方法もあり、これをはぎあわせ鉢、合わせ鉢、かしめ鉢などと呼び、この手法は主に高級品に使われます。
白檀(びゃくだん)塗、白檀仕上げ
小札の裏側に金箔押しをして、その上に透き漆を塗る塗装法。乾くとアメ色に金が浮かび上がります。最近では金箔押しをしない方法もみられます。
本金鍍金(ほんきんときん)
鍍金とはメッキのことです。風合いよくするために本金を使用します。主に鍬型などがこの方法でメッキされています。
木彫箔押竜頭(きぼりはくおしりゅうず)
兜の前正面に前立(まえだて)と呼ばれる飾りものが付きます。いろいろな形がありますが、特に竜が一番多用されているようです。竜は中国の架空の動物ですが、大変に縁起がいいからです。
プラスチック製や、アンチモニーという金属製のものがありますが、高級品は木材を竜の形に彫り、金箔押し仕上げをしてあります。ウロコの模様が細かく、体全体に丸みがあるものほど高級品です。
来週は五月人形の道具についてお話しします。