ひな人形のリメイク・リサイズをお預かりして、最初にお聞きするひとつは納期です。
完成してお納めするのが来年のひな祭りに飾られるか、「お人形の修理があるから急ぎません。ゆっくり丁寧に時間をかけてもそれなりに仕上げて下さい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
数十年飾られずに箱のまま蔵にしまわれた方や、毎年2月に飾られて3月にはたきをかけてしまわれていた方では、おのずと人形の顔のよごれや道具のいたみ、湿気の度合いによって人形や道具の劣化なども違います。
一様に私のお人形は古いから、飾ってないから、いたんでないかしらとおっしゃる方もいらっしゃいます。
お聞きして、そのような塩梅で箱を開けて静かに紙からほどいてみますと、とてもきれいで感心することもあります。
お人形の収納場所もお聞きすると、風通しのよい通気性のある納戸や蔵の二階に保管されていたとお聞きします。
そうかといって、毎年3月の節句間近になると7段15人を、7段を作成してもうせんしいてお人形、道具を一つ一つ飾られた方もいらっしゃいます。
20数年、30数年、毎年飾るとしまうを繰り返されて、どんなにお人形、道具がいたまれていたか、よごれていたか拝見すると、見事にきれいなおひなさまもあります。
扱いが丁寧でしまう時にほこりを払われて、3月3日に関わらず天気のよい風通しのよい日にしまっていましたとおっしゃいます。
防虫剤が入っている方もいらっしゃいます。
全く防虫剤を入れない方もいらっしゃいます。
同じひな人形でも、殿はきれいでも三人官女のお顔にしみがでていたり、姫の後ろの「も」がきばんでいたりすることもあります。
きれいなままで残っていたお人形、道具は、そのままリメイク・リサイズの作業に入ります。
Contents
人形、道具の点検
リメイク・リサイズに入る前にお人形、道具一つ一つをみせていただきます。
写真を撮ってお知らせすると、びっくりされる方もいらっしゃいます。
そこまでは気がつかなかったから、今回思い切ってきれいに修正、修理して下さいとおっしゃる方もいらっしゃいます。
道具に関しましては、ビニールの袋がかけたまま保管された方、ビニール袋をみんなとられた方といろいろです。
かけてあるとかけてないより、そのままきれいになっている方もいらっしゃいます。
箪笥の引き出しの持ち手が取れていたり、おもちゃに遊ばれたのか牛車の牛がはずれていた方等いろいろです。
鏡台の引き出しがひとつかけていたり、屏風がやぶれていたり、ぼんぼりの白いところにしみがでていたりすることもあります。
できるだけその道具を直してきれいにしますが、直らない場合は職人さんにだすこともあります。
時間がかかっても直る場合と、直らない場合もあります。
修理について
リメイク・リサイズに入る前のお人形、道具の修理のお話しです。
お預かりしても、これが一切なくてすぐケースや収納箱に飾って、どのケースや箱が気に入るか、選択されて早々と決められる方もいらっしゃいます。
新たにその道具だけ新調される方もいらっしゃいます。
道具はこのようなわけですが、人形の場合はとても手間取る場合もあれば、お人形の顔のよごれがそっと一筆でなおることもあります。
なにぶん見積りあっての話ですから、お客様の了解を提出してから、ご納得いただいてから作業に入ります。
明治・大正・昭和の古いお人形ですと、お人形、道具の修理はやはり元通りにとなると法外の費用がかかることもあります。
それでは人形の修理は古い時代の人形は高くて、新しいのは安いのですかとおっしゃると、そうでもないです。
人形、道具のなおす程度にもよります。
修理の程度
新しいお人形でもかびているのは、けっこう手間と費用がかかります。
かびがある程度広がっていると、それをぽんぽんとはたいて、気長になおったかな、まだかなと日をかけて修正に入ります。
修正も早い方でも、時間はゆっくりといただいて仕上げの様子をみながらことを進めます。
かびなど衣装の上側だけならスムーズですが、中や裏側にまで浸透していますと、時間がかかります。
今回は、リメイク・リサイズのお話しが修正のお話しになってしまいました。
次回は、リメイク・リサイズの流れについてお話しします。