本日は、五月飾りの選び方の基準、兜・鎧の組み立て方をご説明します。
選び方は買う側の予算と好みの問題なので、売る側に常に正解があるわけではありません。
ただ、工芸品としての良し悪しということであれば、五月飾りの甲冑の場合も、ひな人形同様に素材の違い、技法の違い、技術力の違いが大きなポイントになります。
いずれも五月飾りのモデルともいうべき本物の甲冑の素材と技法、そして技術力が基準となり、それと比較して、いかに本物に近いかを評価すれば分かりやすいと思います。
例えば、本物の甲冑であれば、兜の鉢や、金具廻りと呼ばれる部分は鉄板を切って作りますが、安価な量産品ならばアルミその他の金属やプラスチックを使用します。
兜の吹返しや眉庇、鎧の弦走などの絵革は、本来、鹿革を型染したものですが、安価な量産品ならば合成皮革や布、紙に印刷したものが代用されます。
家地と呼ばれる布帛部分に使用する裂は、ひな人形と同じく、高級品であれば京都西陣の本金金襴が使用されます。
また、歴然とした差が生じるのは、威糸や忍緒等の紐類です。
これらは本物では絹の組紐が多用されています。
五月飾りでも「正絹」と表示されたものは多いですが、一口に正絹といっても雲泥の差があり、絹糸の質、紐の組みの良し悪しが金額にも直結するのです。
技法としては、本物の甲冑が本小札式のものならば、小札の一枚一枚を牛革で作るのが本当ですが、五月飾りでは厚紙で代用するか、金属板をプレスして小札風に見せたものがほとんどです。
塗装も本当は漆ですが、五月飾りではほとんどがカシュー(ウルシ科の常緑小高木)などです。
錺金具は高級品なら手彫(地彫)でしたが、現在ではほとんど見られず、鋳物で高級とされています。
職人の技術力に関しては、製品が細部まできれいに出来ているか、丈夫に出来ているか、といった点は言うまでもありません。
造形やバランス、色彩のセンスというような点も評価するべきですが、この辺りは買う側の好みにもよります。
なお、いわゆる「京甲冑」と「江戸甲冑」は、それぞれがモデルとしている本物の甲冑と、産地の基本的な技法が異なっているため、両者の間に優劣をつけることは困難です。
次に、兜と鎧、それぞれの組み立て方をご紹介します。
兜の組み立て方
兜にはいろいろな形があります。
お持ちの兜がどのタイプなのか確認しましょう。
鎧の組み立て方
ワンポイントアドバイス:兜や鎧を組み立てる時には、手袋の着用をおすすめします。金属の部分に指紋が付くなど、変色する可能性があります。
本日は、五月飾りの選び方の基準、兜・鎧の組み立て方をご説明しました。
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