掛け軸

掛軸についてのQ&A

掛軸のリメイク・リサイズの依頼をお聞きしていますと、ご質問をよくお受けします。
お答えできる範囲でご説明申し上げます。

Q:掛軸の価格の違いはどこの違いですか?

A:描かれた作家さんの違いです。

経歴の良い作家さんや人気の高い作家さんが描かれた作品は、価格が高くなります。表具は作品の内容に応じて仕立てます。
例えば、良い作品には正絹で細かく織られた西陣織の裂地を貼り合わせ、上質な塗り物の軸先を取り付け、桐箱を入れるための外箱として塗箱(二重箱)を付けます。
また、手描きではなく複製画の場合は、美術印刷や木版画などの技法、作品の出どころ、監修者、限定数によって価格が変わります。

Q:掛軸を作るのにどれくらいの時間がかかりますか?

A:作品を描く時間は、作家さんによって異なります。

一般的には紙に描くよりも絹に描くほうが時間がかかります。
紙であれば1点描くのに数日で仕上げてしまう作家さんもいれば、絹に2~3ヶ月ほどかけて入念に描き込む作家さんもいます。
表具の仕立ては通常約1ヶ月かかりますが、作品の大きさや使用する素材によって前後します。
合計で2~3ヶ月ほどかけて仕上げる作品が多くなります。

Q:床の間に掛軸を掛けるのに細かい決まりがありますか?

A:これをしてはダメ!という決まりは特にありません。

床の間はその家のご主人の想いを伝える場所です。
お好みでお掛けください。
ただし、ご来客時に大切にして欲しいことは、お客様にどのように伝わるかということです。例えば、夏に雪景色を掛けて涼んでもらいたいという気持ちを表すこともできますが(逆さ掛けといいます)、説明が無ければ冬からかけっぱなしにしていると思われます。
また、仏事の掛軸を掛けているときにご来客があれば「この家には最近ご不幸などがあったのであろうか?」という余計なお気遣いをさせてしまうこともあります。
お客様の立場に立っておもてなしをされるのであれば、適材適所、季節に合ったものを掛けていただくのが一番スマートです。また、掛軸を末長く綺麗な状態に保つためにも、かけっぱなし、しまいっぱなしにせず、適度に掛け替えをしていきましょう。

Q:床の間が無ければ掛軸は掛けられないですか?

A:床の間が無くても掛軸は掛けられます。

床の間は日本独自のものであり、掛軸発祥の中国では壁面に掛軸を飾ります。
掛軸の重量は一般的に500g前後と額縁に比べると軽く壁面の負担も少ないため、最近ではリビングの壁面に季節に応じて飾り替えをされている方が増えています。
また、掛軸を飾る専用の飾り台もあり、床の間以外の場所に飾ることが徐々にスタンダードになっています。

Q:掛軸は古くなると価値が上がりますか?

A:一般的にはその他の家財と同じで、古くなったものは中古となり、価値は下がります。

ただし、有名になったのに世の中に出回っている作品が少ない作家さんのもの、または、熱烈なファンが多くいた作家さんのもので、作家さんがすでに故人であれば新たな作品が仕上がることがないため、プレミアが付きます。
このプレミアの付いた掛軸の印象がテレビ番組などの影響で多くの人に強く残っているため、「掛軸は古くなれば価値が上がる」「作家さんが亡くなれば高くなる」といった誤解が広がっているのでしょう。

Q:絹絵か紙絵、どちらのほうが価値ありますか?

A:描いてある素材が絹か紙かで単純に価格はつけられません。

どちらも同じと考えていただければ良いでしょう。
素材として耐用年数が長いのは絹より紙となりますが、何百年単位のお話です。
絹に描く場合、下の色が完全に乾ききらないと上塗りできないため、時間と手間がかかります。特徴として、色合いのグラデーションを美しく表現できます。
紙に描く場合、描く時間は短いですが、その分技術が必要になります。絵具の量、水の量、筆を動かすスピード、力加減、紙質、何れかが微妙に異なるだけで大きく風合いが変わります。
どちらが良いというよりは、お好みとなります。ただし、プレミアが付くような古物では、一般的に手間のかかる絹絵のほうが高額となる場合が多いです。

Q:山水画の川は右か左のどちらに流れるのが良いでしょうか?

また、描かれている人物や動物は仏壇に背を向けてはいけないのでしょうか?

A:掛軸に描かれている川の向きや動物の向きを気にされる方が多いですが、大切なのは絵画の表裏です。

日本の伝統的な文化は、陰と陽、つまり表と裏の表現を大切にする文化です。日本画の表現には必ず左右で絵の表と裏が存在します。
通常の掛軸にはサインと印影(落款:「らっかん」といいます)が絵の中にありますが、落款は絵裏に押す決まりがあります。右に落款があれば左が絵表になります。
同じように、所沢にも表裏があります。通常は日の光が入る方向が表となります。床の間の表の向きに掛軸の絵表を合わせるのが一番美しい飾り方だといわれます。
上記は決まりごとではありませんので、最終的にはご主人のお好みで決めていただければよろしいです。

Q:掛軸とタペストリーの違いは何でしょう?

A:1. 壁面に飾り鑑賞するもの

2. 巻いてコンパクトに収納できるもの
上記2点で掛軸とタペストリーは共通しています。
3. 作品を保護するようにつくられたもの
この考え方が掛軸とタペストリーの一番の違いです。
作品を保護するために、巻いても作品が擦れないように設計され、さらに表具が傷んでも剥がして再表具ができるように作られていることが掛軸の特徴です。

掛軸のQ&Aについてお話ししました。

ご質問等ございましたら、お願いします。

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