3月3日のひなの節句も終わり、今回は5月5日の男の子の節句についてのべます。
端午の節句は、5月の端(はじめ)の午(うま)の日という意味で、のちに5月5日となりました。
特に季節の変わり目であるこの日に、病気や災難を払おうと、昔から邪気を払う力を持っていると信じられていた菖蒲を軒にさして軒菖蒲、お風呂の中に入れて菖蒲湯、枕に菖蒲を挟んで菖蒲枕などが行われてきました。
これらは奈良時代から現在まで続いている端午の節句の奥ゆかしい風習です。
この端午の節句が男の子の祝日となったのは、江戸時代に入ってからです。
菖蒲が「武をたっとぶ」という尚武(しょうぶ)と同じ音であることから、いかにも男の子の祝いらしいと武家社会に好まれ、旗・差物・幟を門口に飾って、勇ましくお祝いをしたものですが、それが武家ばかりでなく庶民一般にも、だんだんとこの風習が広がっていったのです。
現代では、鯉のぼりや武者幟を立てたり、部屋の中には鎧兜(身を守る防具=お守りとしての意味)や武者人形などの五月人形を飾ってお祝いします。
親子で語り合いながら、一緒に人形を飾る出来事。その行為そのものが貴重な親子のふれあいの場であり、情操教育の一環なのです。
家族の絆ほど大切で基本的なことはありません。テレビなどでいろいろな悲しい事件が報道されるたびに、ますますその重要性を感じざるを得ません。
子どもたちの感性の一番柔軟な時に、美しい物を見せる、理屈ではなく、雅やかな物を愛でる。三つ子の魂百までも、優しい感性が育って欲しいですね。
わが子の健やかな成長を願う優雅な伝統文化が「お節句」です。
昭和60年代頃までは、おひな様は豪華な七段飾り、五月人形は三段飾りが主流でした。
しかし、最近は住宅事情もあり小型の平飾りが主流となっています。
毎年飾るものですから、ライフスタイルに合わせて無理のない(大きすぎない)サイズをおすすめします。
最初からケースに入った人形は、たためないので意外とかさばります。
ケース入りよりも平飾りの方が管理も楽でしょう。
ひな人形、五月人形は、一人一人の災厄を身代わるという、古来からの風習です。
つまり、本来は一人ひと飾りです。小さくても手作りでもよいですから、ご兄弟でも新しい生命には新しいお人形でお祝いしましょう。
一人ひと飾りですから、お父さんお母さんからの譲り受けも本来の形ではありません。
物を大事にすることは大切だと思います。
人形などは職人さんが丹精込めて作ったものですからなおさらです。
お父さんお母さんの人形を飾らないということではなく、親子の人形を一緒に飾っていただくことは理想ですね。
端午の節句の場合の祝い方は、お母さんの心づくしのごちそうでお祝いしましょう。ちまきや柏餅が付き物ですね。
また、軒先に菖蒲をさしたり、お風呂に入れて菖蒲湯にして入ります。
菖蒲は薬効があることから、昔から邪気を払うとされ、健康を願うものです。
五月人形のもうせんの色は、昔から緑色が定番です。
緑色は萌葱(もえぎ)色といいまして、若葉の萌え出る色、つまり強靭な生命力を現す色です。まさに男の子のお節句にはピッタリの色ですね。
四季のある日本だからでしょうか、日本人の色に対する感性は、諸外国に比べても優れているようです。
その昔、聖徳太子は冠位十二階の制度を色で位を決めましたし、十二単のかさねの色目は季節や年齢、家格、官位、吉凶などによって決められ、それぞれかさねの色目の名称もつけられていたほどです。
屏風は金色が基本色です。
結婚式の新郎新婦の後ろには必ず金屛風が立てられます。
結婚式以外でもいろいろなおめでたい席にも、金屛風はなくてはならないものです。
また、豊かに実った稲穂を連想させ、豊かさの象徴でもあります。
金は色の頂点に立つ色ですから、主役のおひな様がお子様の成長した姿だとすれば、金屛風は後ろから見守る親の役目です。まさにおひな様は我が子の結婚式の姿を表現しているのです。
豊かで幸せな将来に希望を託す親の願いの象徴です。
また、金屛風ともうせんでの飾り方は片付けたときにとても小さくしまえます。
伝統的な飾り方ですが、現代のライフスタイルとも合致していますね。
おわりに
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