ひな人形について

衣装の模様について

ひな人形が終わって、リメイク・リサイズのためにお人形が送られてきます。

 落ち着いたら、福井に観光がてらご来店の方もいらっしゃいます。

お人形にこんにちは、初めましてとご挨拶して拝見にはいりますと、お人形さんの大小、道具の多さに圧倒されます。

何といっても、まず最初でお人形をまいた紙をほどいてご対面です。

お人形は顔が命と申しますし、まずお顔その次に衣装を拝見します。

衣装は数十年リメイク・リサイズをお受けしていますが、模様がいっしょだったことはありません。

これだけたくさんお受けしているからあるかしらと思いますが、やはり違います。

よく似ていても、どこかしら違っています。

模様がそっくりでも、色目が違ったりします。

手作りはこんなふうになるのかしらと、改めて思います。

本日は、衣装の模様についてご説明します。

模様、着物の文様は、お人形を見るときに最初に生地をみます。

お人形の大小によって衣裳の模様も大小です。

丁寧で仕上げのしっかりしたお人形は、前身ごろの胸元あたり、お袖のすそなどにポイントの模様があったり、その部分だけししゅうがなされています。

ほっと溜息の出るような、見事な衣裳もあります。

本日は、名物裂文様と能衣裳文様についてお話しします。

衣装の模様について

名物裂とは交易により日本にもたらされたもので、大名や有力社寺の収集品でした。

 中国、東南アジア、インド、ペルシャ産の織物や染物で、正絹や綿の生地が多いです。

 後に日本製の染織物が増えます。

 こうした生地は大変貴重で、千利休など著名な茶人が名品と認めた道具類を入れる袋や仕覆(しふく:茶入れを入れる袋)、袱紗、能楽の楽器の袋などに仕立てられます。

名物裂の文様は実に多種多様で、主なものは以下の通りです。

植物文様

唐草文・蔓のある文様を総称して唐草文と呼びます。蔓草がくねくねと旋回しながら伸びる様が描かれています。基本となる茎から派生する葉や枝、そして花などが描かれていて、連続で用いられます。

牡丹唐草文・名物裂の多くを占めていて唐草文えお代表する文様です。大牡丹、中牡丹、小牡丹に分かれさらに唐草の蔓の数によって一重蔓、二重蔓と呼ばれています。

動物文様

動物文・獅子、兎、象、羊、馬、鹿の他に十二支や、空想の動物などもあり多趣味です。広義には蝶などの昆虫や魚文、鳥文なども含まれてきます。

鳳凰文・鳳凰は想像上の霊鳥で、古代中国では麟、亀、龍とともに四霊として尊ばれました。雄を鳳、雌を凰といいます。唐草や桐竹などとの組み合わせ文があり、桐竹鳳凰文は男雛の衣裳としてひな人形にもよく使われる文様です。

吉祥文様

宝尽文・その名の通り宝物を並べた文様です。縁起が良く福を呼び込む吉祥文様として喜ばれ、これは名物裂に限らずよく用いられます。中国の八宝思想からとされ、日本では如意、宝珠、宝鑰(宝の鍵)、打ち出の小槌、金嚢(財布)、砂金袋、巻物、花輪違などがあらわされ、これらを組み合わせて配置したり、メインとなる文様と組み合わせたりします。縁起が良いことから、ひな人形の衣裳にもよく使われています。

天象文様

雲文気象条件を表現した文様のため多種多様です。とりわけ多いのが瑞祥の意をあらわす霊芝雲と瑞雲文で、松竹梅や鶴などの吉祥文と組み合わせて使われます。霊芝とはマンネンタケ科のキノコで、万年茸という別名を薬用植物です。霊芝雲文は霊芝の形をかたどった雲の文様をいいます。

幾何学文様

幾何学文直線あるいは曲線を基本に構成された文様です。三角形、菱形、多角形、円型などが連続して組み合わさった文様です。名称は使われている図形にあった名が付けられていることが多く、石畳、襷、亀甲、立涌、七宝などがあります。

蜀紅文・「蜀江」とも書き、蜀紅錦に見る文様です。八角形とその一辺を辺とした四角形を連続された幾何学文様的な枠に唐花や牡丹、動物などを入れたものが多いです。

能衣装文様

能は古く、申楽の能と呼ばれ、室町時代の足利将軍の庇護のもと観阿弥と世阿弥の父子によって大成されました。能を舞う演者が身に着ける衣装を能装束と呼びます。種類はさまざまで例えば小袖、素襖、直垂、直衣、狩衣、法被、水衣、長絹などが挙げられます。特徴的なのはどの衣装も、豪華で華美に作られていることです。とりわけ、唐織、厚板、摺箔、縫箔といった織り方の技法を凝らした豪華なものを能衣装と呼びます。

唐織

中国から渡来した刺繍のように糸が盛り上がった織物の総称ですが、16世紀に京都西陣で中国の織技法を取り入れて織り出した豪華絢爛な織物をいうようになります。能衣装を代表する重厚華麗な装束で、金銀糸と多色の糸を使って刺繍のように緩やかに浮いて盛り上がりを作り、立体感を出します。

厚板

男役の着付衣装です。着付衣装とは唐織のように表に着るものではなく、その下に着るものです。唐織と同じ織り方ですが金銀糸を用いていないため落ち着いた色合いです。

摺箔

女役の着付衣装です。生地に型置きして糊を引き、乾かないうちに金箔や銀箔で押します。そのため文様が金箔、銀箔であらわされます。特に三角形の連続文様を摺箔したものを鱗箔と呼び、女性の執念や情念を表現した鬼女、また蛇体の鬼と化した女性の姿を象徴する装束として知られています。時間が経過し、擦れて箔が落ちた様子もまた重厚感を感じさせる要因となっています。

縫箔

摺箔同様、女役の着付衣装です。着用方法は肩から脱いだり、腰に巻いたりします。紅色の入った華やかなもの紅入りと言い、縫箔には紅入りや無紅があり、生地全体に糊置きをし、箔押して詰めた生地に刺繍で文様を表現したものです。

 

本日は、衣裳の模様についてお話ししました。

お問い合わせ等ございましたら、メールにてお受けします。

よろしくお願いします。

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