掛け軸

掛軸の取り扱いについて

夏も終わり秋になりますと、掛軸の修復のお問い合わせのご来店も多くなってきました。

お預かりします御軸は、昨今の軸もあれば、やまだでは一番古くて室町であったであろうと思われる軸もありました。

私はもちろん、家宝でお持ち下さった方もいつの時代か分かりませんとおっしゃいました。

一級技能掛軸修復の資格を持つ3人の方で拝見しまして、そのような室町であろうと結果に落ち着きました。

何度も話し合いを重ね、本紙はそのままで小さなやぶれを2ヶ所修復した次第です。

お預かりしましてからは、ハラハラドキドキの毎日でした。

無事おさめてほっとしたところです。

掛軸の修復、修正に関しては、本紙が現存するのですから、周囲の表装をどのようにするか、できるだけ軸本来の持つ風合を失わないようにお家の床の間にあった軸の修正、修復を心掛けています。

 本日は、掛軸についての基礎的なご説明を申し上げます。

掛軸の修正、修復を現店舗ではじめて、数十年たちます。

お家に代々伝わる家宝だからと大切に風呂敷に包まれてお持ちになって、拝見します。

軸のご説明から、軸の伝来をお聞きして、どのようになさるかお聞きします。

お見積もり後ご了解下さいますことで、それから作業に入ります。

ご質問、お問い合わせがございましたら、なんなりとお受けします。

よろしくお願いします。

 

掛軸の取り扱い

掛軸は、中国より伝わって以来多くの表具師によって研究伝承され、日本の生活様式によく調和し、書画の鑑賞にも保存にも適した日本独特の美術工芸品といえます。

 掛軸は気温・湿度に敏感ですので、取り扱いにはそれだけ心配りと配慮が必要です。

鑑賞への心配り

表装の出来立ては、糊が充分慣れていないため狂いがきたりシミが出やすいので、最初の1ヶ月間は、晴れの日を選んで3日に1日の割合で掛け、2日は休ませることを繰り返して下さい。

その後掛ける時は、3日以上は続けて掛けないように、特に1週間以上の掛け放しは極力避けて下さい。

空調の強い、乾きすぎたり湿度の高い室内、雨や風の強い日、日光の当たる場所ではソリやシミの原因となりますので避けて下さい。

掛物の内容は来客により、また四季の風情に合わせて画題を選んで下さい。

掛軸の掛け方

軸箱から掛物を取り出し巻緒を解き、畳の上で一文字のところまで広げ、巻緒を目立たないように左側に寄せ、風帯の癖を直します。

右手に矢筈を持って掛緒に掛け、左手で袱紗を添えて表具の中央を支えて立ち上がり、床の釘に掛緒を掛けます。

矢筈を右側に立てかけ、次に両手で軸先を握って静かに下します。

巻癖がついてしまった時は、軽くひと巻程度逆巻にして直します。

掛け終わったら少し離れた場所から、表具の「高さ、左右のバランスなどを点検します。

釘が高すぎる場合は自在で補って下さい。

床に良くおさまったら風鎮を掛けます。

 

掛軸のしまい方

柔らかい羽ほうきで軽くほこりを払います。

矢筈を右側に立てかけ、軸先を持って上の一文字のところまで巻き上げてから、掛けた時と逆の要領で矢筈で釘から外します。

畳の上で風袋を折り目通りにたたみ軸をやや柔らかめに巻き、掛緒を図の要領で巻いて、柔らかい紙に包み、軸箱に収納します。

掛軸の保存

しまいっ放しにしておくとカビてしまうことがあります。

秋の晴天の時を選んで時々虫干しをします。

 軸箱もかるく陰干しをして乾いた布で拭いて軸を収納します。

ナフタリンや樟脳はシミの原因となりますので専用の防虫香を利用して下さい。

水やカビのシミは放置すると取れなくなります。

また折れシワなども修理仕立直しが必要ですので表具師に依頼して下さい。

さいごに

掛軸の掛け方、保存を申しましたが、なかなかこのようにいかないのが現実です。

店舗でご相談お受けしますと、何年も一本の掛軸をかけたまま忙しいから吊りっぱなしですとおっしゃる方も笑いながらおっしゃいます。

それはそれでありかなとも思います。

お祝い事や仏事がありますと、店舗にお見えになる方もいらっしゃいます。

お問い合わせ、ご質問等お受けします。

よろしくお願いします。

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