掛け軸

掛軸のあゆみやメンテナンスについて

11月に入り、掛軸の修正、修復のご依頼が増えてきました。

現在、ご依頼を受けますと、丁寧にゆっくり進めさせていただいて、年内12月20日頃には完成予定となります。

お正月に飾りますとおっしゃる方は、お問い合わせ下さい。

本日は、「掛軸とは?」、「掛軸のあゆみ」、「掛軸のメンテナンス」についてお話しします。

 

Contents

掛軸とは?

掛軸といいますのは、

①壁面に飾り鑑賞するもの

②巻いてコンパクトに収納できるもの

③作品を保護するようにつくられたもの

をいいます。

 

掛軸のあゆみ

掛軸のあゆみを簡潔にいいますと、

・仏教を伝えるツール:王族(約1,500年前~:飛鳥時代)

・神仏や先祖への礼拝の対象:貴族(約1,200年前~:平安時代)

・アートを楽しむ:公家(約800年前~:鎌倉時代)

・お殿さまの権力をしめす:将軍家(約600年前~:室町時代)

・茶会のテーマをしめす:上級武家(約550年前~:室町時代)

・ステータスをあらわす:中級武家(約500年前~:安土桃山時代)

・四季の移ろいを楽しむ:江戸町人(約400年前~:江戸時代)

・アーティスト作品の主な装飾品:上級庶民(約200年前~:明治時代)

・一般家庭の床の間装飾品:一般庶民(約100年前~:大正昭和時代)

になります。

 

掛軸の取り扱い

掛軸の掛け方

巻きヒモをほどき、掛軸を少しだけ開き、風帯を下に伸ばしてまっすぐに垂らします。

掛軸を掛けるための棒(矢筈(やはず))を右手に持ち矢筈の先端に掛けヒモを引っ掛けます。そして、立った状態で天井に届くところまで掛軸を開け、左手で掛軸の中央を支えるように持ち、掛けヒモを金具に引っ掛けます。

矢筈を抜いて手元に置き、両手を軸先に持ち替えてゆっくり開けます。

④床の間から少し離れて座り、作品の中心が床の間の中心よりやや下にみえるように掛軸の高さを掛け金具で調整し、左右のバランスを整えます。(お好みに応じてください)

⑤必要に応じて風鎮(掛軸下部に引っ掛けるおもり)を軸先に引っ掛けますが、付けっぱなしにならないように心がけてください。(掛軸を傷める原因となります)

 

掛軸のしまい方

①掛かったままの状態で軸先を両手で持ちながら巻いていきます。そして、手の届く一番上まで巻いたら左手で掛軸中央を支え、右手で矢筈を持って掛けヒモを金具から取り外します。

②風帯を左右内側に折りたたみ、再び軸先を両手で持ちきつく巻き過ぎないように残り部分を巻きます。

③巻きヒモは、図のように右側から3回、ゆるくかけていきます。

④下に垂れている巻きヒモの中央部分を手前に折り曲げ、折り曲げた先端を下から掛けヒモにくぐらせ上に引っ張ります。

⑤上に引っ張り上げた先端を反対側にくぐらせて締めます。

⑥掛軸を桐箱に収納します。桐箱の内側には通常軸先を支える部分がありますが、この部材の広いところに掛軸の半月棒の部分を置くと収納しやすいです。

 

掛軸のメンテナンス

掛軸のお手入れ

①お手持ちの掛軸はしまいっぱなしにしないで、一年に一度はお出しください。

②掛軸はかけっぱなしにしないで、2~3ヶ月に一度は掛け替えをしてください。

③掛軸の掛け替えを行うときには、天気の良い乾燥した日を選んでください。

 

掛軸の保管方法

掛軸を保管する際には湿気のこもらない乾燥した場所を選んでください。湿気は掛軸のシミ、虫食い、カビの原因となります。

掛軸は桐箱に入れて保管を行ってください。桐材は保湿、耐火性にすぐれ虫を寄せ付けにくいといわれています。桐箱のない作品に関しては、寸法に合わせて製作することも可能です。

桐箱の中には、掛軸専用の防虫香をご使用ください。

④掛軸を収納するための専用の収納庫がございますので合わせてご活用ください。

傷んだ掛軸は修復することができます。その他掛軸でお困りのことがありましたら、ご相談ください。

 

本日は、掛軸についてお話ししました。

ご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。

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