「人形の修理事情」
新型コロナウイルス感染拡大防止のため休業長期になったためか、6月に入ってからひな人形、五月人形のリメイク・リサイズのお問い合わせが多くなりました。
お聞きすると、自粛期間中にお家の整理整頓をされて、数十年前のひな人形、五月人形が出てきたので、これを機にリメイク・リサイズするとおっしゃいます。
お家の中や蔵、倉庫を掃除されて、いろいろな生活用品や使われなくなった日用品や美術品、人形等が出てきて開封されるそうです。
人形といっても数年前から数十年前で、古くは明治時代、大正時代のもあるそうです。
人形の歴史が古いとはいえ、こんな人形がお家にあったからとメールで報告して下さったり、店舗にお持ちになって修理等の依頼等もお受けします。
お持ちのご本人が驚かれるくらいで、私共も拝見して、ここまできれいに長い間保管されていてご無事だったのかと思います。
以前から思っていましたが、えてして以前のひな人形をリメイク・リサイズされる方は、人形について、私のは古いから汚れているから修理は無理とおっしゃいます。
それでも一度送ってみて下さい、拝見しますと申しますと、お送り下さいます。
もちろん、中にはお顔が汚れたり衣装にシミが出ていたり、たまにはそんなお人形もあります。
でも、ご自分が思われているほどお人形のいたみや汚れはそんなにありません。
よく拝見しまして、このお顔のシミはなおりますよと申しますと、「安心しました」とおっしゃいます。
人形の髪のみだれ等は、ゆっくりじっくり気長にときつけします。
市松人形の髪のみだれ等は、お人形によっても違いますが、櫛(くし)をあて静かにといて、白いやわらかい紙をあてて少し強めにまいて長期間待ちます。
髪の性質によっては、温風をあて髪をおちつかせることもあります。
ご自分でも静かにゆっくりと直されたらいかがでしょうか。おすすめします。
直らないこともありますことご了承下さい。
ひな人形や五月人形の髪のおちつき等も、様子を見ながら修正してゆきます。
元来、人形は手作りなので、修正も時間をかけて手を入れてなおせたらと思います。
リメイク・リサイズで7段15人のひな人形を2人、5人にリサイズされる方、7段の段を5段、3段、2段、1段、ケースや収納箱にリメイクされる方、いろんなパターンがあります。
最初に気になさるのは、お人形のいたみやよごれ、お道具のいたみやよごれ、小道具(持ち物)の紛失です。
まず、小道具の紛失に関しましては、やまだでよく似たものを探します。
お道具に関しては、昔はああだったけど今はこうだったということはありません。
例えば、昔は御所車、重箱、おかごだったけど、今はお道具が電気製品や家具の応接セットに変更になったかではありません。
それは、やはり昔のままで連綿と続く日本の伝統文化の素晴らしさかなと感心します。
ひな人形の髪型も、最近はウェーブになったとか、黒髪が茶髪なったということもありません。
日本古来の伝統にのっとって、平安時代からお人形はそのまま残っています。
もちろん、お人形によっては全く修復不可能なことも、たまに、ごくまれにあることもあります。
お人形の衣装で、外的に修復できますが、殿や姫のえりもとのきばみを真っ白にといわれますと、人形の解体をして、着付けのやり直しを行います。
こうなりますと、人形の修理専門の人形屋さんに指示を受けてから仕事に入ります。
ここまでになりますと、日数もさることながら費用もかなりかかります。
もちろんお人形の形態によりますが、それは個々に違いますのでご相談下さい。
じっとお人形をご覧になって衣装のえりもとを気になさる方と、えりまでみないとおっしゃる方と意見は分かれます。
数十年かかってできたえりのシミ等は、ちょっと時間と費用がかかることをご理解下さい。
ケース等に飾るとそこまで分かりませんので、このままで状態でよいとおっしゃる方もいらっしゃいます。
7段15人からのリサイズ事例(写真多数)
本日はリメイク・リサイズをされてお喜びになられた方々の写真を記載します。
およそ、7段15人から、お2人、5人、10人になさった方をご紹介します。
私共で分かりますことなら、なんなりとご質問、ご依頼をお受けします。
お気軽にお声かけ下さい。