12月半ばも過ぎ、年末の大掃除、お正月の用意でお忙しいことと思われます。
何事もお身体が健康であっての日常生活が過ごされます。
風邪などひかれませんようにお過ごし下さい。
リメイク・リサイズの現在の状況
リメイク・リサイズのご依頼をお受けしまして数十年、本格的に立ち上げまして5年たちました。
最初はどのようにしたらよいか、無我夢中でした。
リメイク・リサイズされる方もこんなことできるのかしら、修理可能かしら、元通りになるかしらと半信半疑のご様子で、こちらも何とかと努力しました。
でもよく考えましたら、元の原型はしっかり残っているわけだから、その原型をきれいに早く、いかに手頃な価格で、また元に戻して手元に残せるか、それにつきると考えました。
無から有にいかに残せるか、それを考えました。
ご存知の方もいらして、お人形はお顔、髪、衣裳の着付け師と何人もの作家さん、職人さんの手を経て完成します。
お人形一人が職人さん一人で仕上がるのでなく、何人も手を経て完成です。
お顔のよごれやしみや陥没は、やはりお顔の専門の職人さんです。
髪のときつけも髪結さん専門の髪の職人さんに、衣裳のよごれやしみや黄ばみは衣裳専門の職人さんにゆだねます。
最初は美しかったお人形も、何十年も飾られたり納めたりですと、劣化したりしていたみ、やぶれなども生じてきます。
人形のいたみについて
来年11回目を迎えます「春を彩る越前おおのひな祭り」で、数千体のひなを展示します。
20段のひなを展示する前に、いったんみなお人形を一つ一つ頭から足の先まで見ます。
箱からお人形を一つ一つ出しながら、「あらこんにちは、今年もよろしくね」と人形に挨拶します。
何でもなければいいのですが、しまう時に気をつけて人形を一人一人しまいますが、箱ごと移動する時に箱の中のお人形はお互いに擦れ合って、いたみやキズがでることもたまにあります。
大勢で作業していますと、箱を静かに静かに移動しまして、やはり人間の技で箱をまっすぐ持っていても傾くこともあれば、車で運ぶ移動の時にカタカタすることもあります。
箱から人形を出して、気がついた時に顔や髪や衣装のみだれはその時に何とか直すようにします。
あとからなんて思っていると分からなくなります。
その場で直すようにしています。
それでもいたみやよごれがひどい時は、別にして後日持って帰ってゆっくり人形と向き合って、どうしたらきれいになるか考えます。
20段に数千体飾るから、そんなの分からないでしょうとおっしゃる方もいらっしゃいます。
でも華やかな晴れのお人形をご覧になった時、あらこのお人形どうしたのかしらとか、ちょっとおかしいねと思われますと、晴れの舞台でお人形もかわいそうと思います。
ご家庭でのひな人形
ひな人形を飾られてお人形がちょっとかたがっているとかしっかりたてれないとか、自立してないねといわれると、修理して解体して自然にまっすぐ立てられるようにします。
かたがっていたお人形がまっすぐ立てられるようになると、そのお人形の場所が華やかになります。
隣同士のお人形もよかったね、元通り前のようになってといいます。
髪の毛が乱れていた人形も、手入れしてときつけるとスムーズに戻る場合と、水のりで軽くといて髪をおさえると元通りにふっくらとなることもあります。
※注(お人形さんの種類や髪質や年代によってならないこともあります)
お人形、道具等ひっくるめて考えますと、どうも保管場所によって大きく差がでると私共は考えます。
今までお人形、道具を保管していてきれいだったのに、保管場所が変わって今年出してみたらカビがでていたとか、よごれがでたとか、シミがでてかは調べてみますと、湿気があるのが原因と段々分かってきました。
他にも多々原因はありますでしょうが、お人形、道具は湿気を嫌うようです。
田舎の蔵の1階と2階では湿度がかなり違うようです。
最近人形のリメイク・リサイズをお預かりして、新聞紙が入っていたことがありました。
お聞きすると、保存に新聞がよいと聞いたからとおっしゃいました。
確かに人形、道具は30年たってもきれいでした。
人形の防虫剤が入っているのはよくお見受けしますが、白い紙でもなく新聞が入っていたのには、驚きでした。
新聞がよいかどうかは、関係者の方によくお聞きして、よい根拠があれば後日お話しします。
催事でのひな人形展示
東京の大手の人形屋さんが、ひな人形の文化の継承のためボランティアでひな人形の展示を東京の銀座のホテルで開催していたそうです。
人形屋さんですから、ひな人形の展示、撤去は何でもないことですが、7段の人形の移動が大変でした。
ホテルとも話し合って、ホテルに人形を預けることになったそうです。
年に1回のことでホテルの保管倉庫からひな人形をだしてきてびっくりしたそうです。
人形、道具がみなかびていたそうです。
ホテル側とすれば、大切な預かり物ということで大切に保管していたそうです。
調査すると、ホテルのレストランの2階に大切に保管していたそうです。
レストランの厨房の湿気がみんな上がって、湿気をおびたそうです。
常に開閉しているところだといいのですが、そうでなく閉じられていた所だったそうです。
人形屋さんはその後、毎年会社から運んで運搬して撤去してまた会社に持って帰るようにしたそうです。
私共も人形の保管にはたいそう気をはります。
湿度差にも敏感ですし、あまり湿度の高低の差のないところに保管することをおすすめします。