8月中旬を過ぎましても、暑い日が続きます。
秋になって夏のお疲れがでませんように、心穏やかに休憩をとってお過ごし下さい。
本日は、ひな祭りの歴史についてお話しします。
Contents
災厄を祓う風習と女の子のお人形遊びから誕生
3月のお祓いとままごと遊びが融合
ひな祭りの歴史は平安時代にさかのぼります。宮中では、3月初めの巳の日、天地の神に無病息災を願ってお祓いをする行事がありました。陰陽師を呼び、神に食物を供え、人形に禍や凶事を託して川や海に流したり、神社や寺院に納めて祈祷していました。
そのころ宮廷の婦人や子どもたちの間では「ひいな遊び」が行われていました。紙で作った人形(ひとがた)と身のまわりの道具をまねたおもちゃを使う、今でいうままごと遊びのようなものです。「源氏物語」(紫式部)や「枕草子」(清少納言)の中にも、宮中の幼い姫たちの人形遊びが登場。
そして、この無病息災のお祓いと「ひいな遊び」が結びついて定着したのが「ひな祭り」といわれています。
「ひな」という言葉の意味は小さくて可愛いもの
「ひな」は漢字で「雛」です。この言葉がどこからきたかといえば、「ヒー」と鳴く生まれたばかりの鳥の声から。それが鳴くの縮音「ナ」と結びついて「ヒーナ」となり、「ヒナ」になりました。
宮中の姫たちが遊んだ人形は、人の形を小さく作ることから、雛になぞらえて「小さくて可愛い」人形、「ひな」人形といわれるようになったのです。
名脇役について
次に、いつも主役のお人形、道具のお話しをしていますので、今日はひな祭りの名わき役についてお話しします。
菱餅
長寿を表す菱形の餅です。下から緑、白、桃色。緑がヨモギを用いた増血剤、白餅は血圧低下剤、紅はクチナシで解毒剤の意味があります。
また、桃の花の咲く頃はまだ雪も残り、その雪の下では緑が芽吹き、やがて花をつけるという風流な春のイメージが込められています。
桃
ひな人形の供物といえば「桃の節句」として桃の花を飾ります。桃は桃仁、白桃花など、古来より生薬として使用され、中国では「邪を裂く力」があるといわれていました。
また、旧暦の3月はじめは桃の花の咲きそろう頃なので「桃の節句」と称されます。
白酒
桃の花には白色がないので、桃色に対し白酒を用いて紅白としたといわれます。また、酒の色にちなんで、体を清めるという意味も。
むかし、大蛇を宿してしまった女性が3月3日に白酒を飲んだところ、大蛇を流すことができたという言い伝えから、胎内に悪いものが入らないように飲むそうです。ちなみに白酒と甘酒は別物です。
ひなあられ
ひなあられのあられは、干した米や餅を煎って作った携帯食料であり、ひな祭りが平安時代に「ひいな遊び」として宴が屋外で行われていた名残といわれます。
桃色や緑色など、春を思わせる色とりどりのあられの優しい味わいは、なぜかなつかしさを感じさせます。
付属品では、他に屏風、桜橘、雪洞もあります。
それについてもお話しします。
屏風
素材別には、金屛風、絵屏風、塗屏風などがありますが、形状的にも六曲、四曲、三曲、二曲などがあり、さらに角型、丸型、波型など、近年は非常に種類が増えてきました。
大きさの表示は高さが基本です。
最も古くからひな人形と組んで使われていたのは金屛風です。これは貼る金紙の質によって価格に差があります。最高級品は金沢箔といって、本金の金箔を使用しています。
桜橘
左近の桜、右近の橘といって、親王側から見て左に桜(向かって右)、右に橘を飾ります。これは京都御所の紫宸殿にある木を模したものです。
桜橘の代わりに紅梅・白梅を組み合わせる飾り方もあります(木目込人形に多いです)。
雪洞
雪洞と書いて「ぼんぼり」と読みます。
高級品は木製、普及品はプラスチック製です。左右一対ですが明かりの灯るものと灯らないもの(小型が多いです)とがあります。
木目込人形の場合は、燭台または油灯といわれるものを多用しています。
本日は、ひな祭りの歴史と名わき役についてお話ししました。
ご質問等ございましたら、お問い合わせ下さい。
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