夏休みも半ばを迎え、今年はコロナ感染予防のため自宅で過ごされた方も多いと思います。
実際にお盆の間雨が続き、外に出ることもなかなかかなわず、お子様がいらっしゃるお家では大変だったと思います。
本日は、五月人形、ひな人形の飾る意義についてお話しします。
お忙しいと時間も無くて、そうかといって三月五月の節句の時期は、ひな人形、五月人形を飾ることでゆっくりできないかと思います。
Contents
「おひなさま」を飾る意義
おひなさまを飾るひな祭りは、家庭で行う小さなお祭りです。赤色のもうせんなどで神聖な場所をつくって、赤ちゃんを守ってくれるおひなさまを飾り、お供え物をして願い事をします。
「健やかに育ち、将来、幸せな結婚ができますように」と。
ひなまつりの源流は、古代中国で季節の変わり目などに健康を願って厄ばらいをしていたことにあります。日本でも平安時代以前からこれにならって、三月のはじめに「ひとがた」(人の形を象徴的にかたちづくったもの)に自分の罪けがれを託して流すことが行われました。やがてこれに貴族の子どもたちの間で日常的に行われていた「ひいな遊び」(人形遊び)が結びつき、三月三日に人形で遊ぶ習慣がうまれました。
江戸時代になって、人形がだんだんと発達して工芸的に立派なものが作られるようになると、男女一対の人形を特に「おひなさま」と尊んで、三月三日にこれを飾り、季節の食べ物などをお供えして女性たちが無事健康に過ごせることを願うようになりました。また、おひなさまのお祭りとという意味から、その日を「ひなまつり」とも呼び、さらに江戸時代中期以降は、女の子の誕生を祝い、その健やかな成長と将来の幸せを祈る風習もうまれました。これは男女一対のおひなさまの美しく仲睦まじい姿に女の子の幸せな結婚を重ね合わせたものでしょう。その高貴な姿やきらびやかなお道具の数々にも、女の子の幸せな人生を願う気持ちと豊かな生活へのあこがれが込められているのです。
こうして、厄を祓うひとがたに始まりながらも、美しく完成されていったおひなさまは、時代とともに一人一人の女の子の幸せを叶えてくれる、その子の守り神のような存在となりました。お子様が毎年、おひなさまに親しく触れれば、おのずとその恩恵をいただけることでしょう。
おひなさまは、生まれたばかりの女の子に対する、周りの人たちのあたたかな思いをかたちにしたもの。誕生をこころから喜び、健やかな成長と将来の幸せを願う「予祝」(よしゅく)すなわち「未来予想図」そのものなのです。
「五月人形」を飾る意義
五月人形を飾る端午の節句は、家庭で行う小さなお祭りです。緑色のもうせんなどで室内に神聖な場所をつくって、赤ちゃんを守ってくれる武者人形や鎧兜を飾り、お供え物をして願い事をします。
「健やかに育ち、将来、立派な人間になるように」と。
五月五日の端午の節句の源流は、古代中国で季節の変わり目に健康を願って厄ばらいをしていたことにあります。日本でも奈良時代以前には五月五日に薬草を摘み、災いを受けないように祈る風習が生まれました。特にサトイモ科の菖蒲は剣のような葉の形と強い根の香りが邪気を祓うとされ、さらにその「菖蒲」の音が「勝負」または「尚武」に通じることから、武家の台頭とともに一層重要な年中行事となっていきました。
江戸時代になると、武家では五月五日に男の子の誕生を祝い、武士の精神的な象徴である鎧兜や幟旗などを飾って、その子の健やかな成長と家の繁栄を祈りました。やがて民間でもこれをまねて、大きな作り物の兜や武者人形、紙の幟旗などを飾るようになりました。これらの飾り物は当初、天の神様の目印となるように屋外に飾っていましたが、江戸時代中期以降、幟旗以外は小型化したものを屋内に飾るようになりました。
鎧兜は身を護る大切な道具であり、日本伝統の武士道精神を象徴する宝物。また英雄豪傑をかたどった武者人形は男の子の成長を見守ってくれる、その子の守り神のような存在です。そして空を泳ぐ鯉のぼりには、たくましくどんな荒波をも乗り越え、人生の成功を願う気持ちが込められています。だからこそ、一人一人に贈るのがよいでしょう。
五月人形は、生まれてきた男の子に対する、周りの人たちのあたたかな思いをかたちにしたもの。誕生をこころから喜び、健やかな成長と将来の幸せを願う「愛情のかたち」そのものなのです。